意図せずセフレが出来てしまった②
相手の空気を読みつつ適度に会話をするのが我々キャバ嬢の仕事だ。
喋りすぎず黙りすぎず、リラックスしながら家でお酒を交わしているような心地よい空気を演出できるのが自分の強みだと思っている。
だがそれはパフォーマンス。
次も来店して貰えるよう、内心必死。
酒飲みながら会話するだけでしょ?楽じゃん。
なんて言われることもあるけど少なくとも私は楽しいとは思うことはあっても、「楽だ」と思った事は一度も無い。喋るのが好きな人は楽だと思うのかもしれない。
化けの皮をはがせば、ただの口数が少ない人見知りの女。基本的に人と話すのは苦手だし自分をさらけ出すのも怖い。
それ故、恋愛経験も乏しい。
好きな人が出来ても自分をさらけ出せず中身のない女だと思われ、いい感じになる前に終わる。自分から好きになる恋は上手くいかず、相手から来る恋はわりかし上手くいく。
押されてとりあえず付き合ったら、知らず知らずのうちに自分の方が相手を好きになっている。
そんな流され恋愛が多い。
今の彼氏もそんな感じで付き合い始め、かれこれもうすぐ四年になる。四年ともなれば互いのことはだいたい分かってるし一緒にいても苦ではない。
仕事で時間もあまりなければ、休みができても疲れて1日中寝ている彼に少しフラストレーションを感じていた。我慢できないほどではないんだけどなんとなく、物足りないなという感じで。
それを指摘したところで彼の負担になるだけなのは分かっているし逆の立場になって考えてみたらたまったもんじゃない。
そんな結果の見えないことでいちいち考え込んでいても何の生産性も無いのですぐ忘れるようにしていた。なので少々不満はあっても別に苦ではなくむしろ楽しいことの方が多かった。
だがある日を境に少し状況が変わった。
意図せずセフレが出来てしまった①
過ぎた恋の詳細なんて時間が経てばすぐ忘れてしまうものだ。今日はもう終わらせようと思っている恋について備忘録的に書こうと思う。
いつかこの恋を思い出した時に、こんなこともあったなぁと振り返れたらまぁ楽しいだろうなと思って。
なんて陳腐なセンチメンタル文章を書いている場合ではない。
いまの状況ははっきり言えばクソほど最悪だ。
私は夜の店で働いている。いわゆるキャバクラ。(色々嫌になり今月で辞めるけど)
水商売歴は通算して約2年。
いまの店に入って1年と少し。
同じ店に1年もいれば嫌でも自分のお客さんは増えてくるし稼ぎもそこそこになる。
ぱっと見ただけでどんな性格の人間なのか分かるようになるし、金があるか無いか一瞬で見分けられるようになる。
よくお客様に聞かれることといえば嬢と客の恋は本当にあるのかどうか。
これはドラマや都市伝説で水商売に対してそういうイメージが広がってるだけで現実全く無いと言ってもいい。
というか客をそういう目で見ることはないし、自分の働いてる店に客として入って来た以上、原則客は客のまま。
なにがどうなっても恋には絶対に発展しない
はずだった。
この2年間、お客様と恋愛関係に発展したことは一度も無い。もちろん素敵な人は沢山いたし、お客様に対してかっこいいなぁと思う事も多い。
だがこちらからすればお客様はお客様。
夜の仕事とはいえ仕事は仕事だからわたしの中で公私混同は言語道断だった。はずなのに。